46号 慣れても新鮮って、いいな (2010/9/18)
大変ご無沙汰いたしまして、申し訳ございません。
蕎麦さかいの酒井でございます。

店はおかげさまでつつがなくやっております。
開業してそろそろ4年。初心思い出しつつ、慣れと戦っている毎日です。

先日、蕎麦を打っていて、ふっと思い出しました。
こうやって蕎麦を打って、それを人様に食べていただけるのが、
純粋にうれしかった頃があったなあ・・・

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趣味で蕎麦打ちをやる人は、
まず、サラサラの粉が、自分の手で蕎麦になることに感激します。
つながったといっては喜び、食べてみて美味しかったといっては喜び・・・

そしてまずそれを食べさせられるのは奥さんと子供。
これが大きな第一関門でして、
「こんなのお蕎麦じゃないわよ」「お父さん、マッズーイ」などと言われて、
あえなく玉砕してしまう人、結構多いんであります。

ここをめでたく突破しますと、家族だけでは飽き足らなくなり、
友人、知人、同僚、近所の人、親戚・・・ と、犠牲者は広がっていくわけです。

私も、誰彼となく家に招いて蕎麦を打ち、
食べていただけるだけでもうれしく、
さらに「美味しいです!」などと言ってもらえればこの上ない喜び。
ああ、そうだったよなあ・・・ ついこの前まで。

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その喜びを毎日味わいたくて蕎麦さかいを始めました。
おかげさまで、たくさんの「美味しい!」に囲まれて、幸せです。

でも、人間、慣れるんです。慣れというのは恐ろしい。
新鮮さがどんどん無くなっていく。
感激はどんどん薄れていく。
なんか、あたりまえになっていく。
これは、いかんです。

しかし一方で、蕎麦打ち一つとっても、何度やっても同じということは無い。
不思議なことに打つたびに出来上がりは違います。
毎回毎回、粉と水と自分の一期一会です。
だから今日打つ蕎麦は、人生で今日だけのもの。
そういう気持ちで、やればいいのかなあ・・・

音楽家の方々が、何度も何度もやったことのある曲でも、
今初めて出会ったごとき新鮮さをもって演奏することが大切と言われるように。


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