39号 チェロの発表会 (2009/3/24)
めっきり春らしくなって来ました。いかがお過ごしでしょうか。
ニュースで見たんですが、靖国神社で気象庁の職員さんが「東京のソメイヨシノの開花宣言」をしてましたね。拍手を浴びてちょっと照れておられる姿がほほえましかったです。

さて今日は、蕎麦と全く関係のない話題で申し訳ないのですが、先週生まれて初めての体験をしましたものですからそのご報告をいたします。
チェロの教室の発表会に出たのです。

50の手習いでチェロを習い始めまして、途中一度挫折し、一念発起して再開してから2年くらいになります。習っている先生が毎年発表会を開いていらっしゃるのですが、今年は私も出るようにと仰せつかりまして、先週春分の日にそれがあったというわけです。
そう、金曜日なのに、営業を休んで出てまいりました。すみません。

出演された生徒さんは総勢35名。子供さんも少しおりましたがほとんどは社会人の大人。年齢は10代から60代まで幅広い。男女比は女性24名男性11名で、かなりの女性上位でした。
場所は、先生が芸大の先生だったご縁で、上野の「旧東京音楽学校奏楽堂」という国の重要文化財の建物です。

プログラムとしては、最初と最後に数曲ずつ大勢で演奏する合奏というのがありまして、それ以外は生徒さんが一人ずつ自分のソロの曲を入れ替わり立ち替わり弾くわけです。

私が弾きましたソロの曲は、Brevalという人作曲、Concertino第1番ヘ長調から第1楽章、というシロモノです。と言うと大層に聞こえますが、実際には3分くらいのごく短い曲。でも私が弾くとゆっくりしか弾けないので4分くらいかかります。初心者レベルの私にとってはエライ難しい曲です。

やっぱり緊張しますねえ。舞台の上で大勢で歌う分には慣れてますが、何しろたった一人でチェロを弾くんですから。歌であれば頭の中で鳴った音がそのまま口から出てきてくれますが、チェロの場合はそこから手に命令を下して弦を押えて弓を動かさねば正しい音が出ないのです。50の手習いの初心者では、この指と手が思うように動いてくれないんです。命令系統が錆びついてますからね。

で、出来はどうだったかと言いますと、なかなか思うようには行かないもんだということを思い知らされました。練習の時は、もう少しうまく弾けたこともあったんですけどねえ。最高にうまく行ったときを100としますと、70くらいでしょうか。でも、そういうものなのでしょう。止まらないで最後まで弾けたのが御の字です。実際、リハーサルでは途中で止まっちゃいましたから。

なにしろ家内以外の人前で弾いたのも初めてなら、ピアノと合わせたのもその日の朝が初めて。いや、その曲を合わせたのが初めてというだけでなく、ピアノと一緒に弾いたこと自体が生まれて初めてという、初めて尽くしの体験でした。そうそう、チェロで合奏というのをしたのも初めてです。チェロばっかりの合奏というのはちょっと不気味ですが、音域からいうと男声合唱に近いですね。ハモルのはチェロでも快感でした。

この年になって、これだけ初めての体験ができるというのは幸せです。いいものです。気持ちが引き締まります。
それと、練習はウソをつかない、ということも実感できます。やったらやっただけのことが身についていくものです。
ここのところ発表会で弾く曲ばっかり練習していたわけですが、終わってその前にやっていたのを弾いてみると以前よりすんなり弾けるようになっていてびっくりです。やはり集中してやると何かが身についているのだなあと思うとうれしくなります。

最後に無理やりチェロと蕎麦屋の共通点を一つ。

時間とエネルギーをかけて準備して、勝負は一瞬。


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