24号 青い鳥 お蕎麦の会がありました (2007/10/16)
金木犀が一斉に咲いて、今年も秋が来ました。
朝、犬と散歩に出ると、その香りが街中に充満していて、酔っ払ったような幸福感に包まれるのは、私だけでしょうか。

さて先週、10月13日土曜日、秋恒例の、青い鳥お蕎麦の会がありました。今日はこのお話をさせていただきます。

青い鳥というのは、正式には「医療法人社団 青い鳥会」といいまして、自由が丘にある、お年寄りを対象にした、在宅医療の医療・看護施設です。
病院に入院するのではなく、住みなれた自宅で療養したいという患者さんの切なる願いに応えるべく、
お医者さんを始め、看護師さん、ケアマネージャー、介護福祉士、ソーシャルワーカーなど、いろんな専門スタッフがチームを組んで、患者さんとその家族のために働いておられます。

詳しくお知りになりたい方は、どうぞ青い鳥のホームページをご覧になってください。
http://www.aoitorikai.com/

で、青い鳥では、単に病気を診るだけではなく、季節ごとにイベント開いて患者さんとその家族を無料で招待されています。というのは、どうしても家に引きこもりがちになるお年寄りに、少しでもお出かけの機会を作ろうということで、患者さんの生活そのものを良くしようという考えなのです。

この季節ごとのイベントは、春のお花見から始まったそうです。
そして、院長先生の奥さんから、「何か秋にふさわしいイベントってないでしょうか」と相談された家内が、「うちの旦那はお蕎麦が打てますけど・・・」と言ったところ、「それはいい!」ということで、このお蕎麦の会が始まりました。
もう今年で9回目になります。おかげさまで、皆さん心待ちにしてくださっているそうで、やるほうも張り合いがあります。

患者さん、そのご家族、来られない方への配達分、スタッフの打ち上げ分、全部で100人前近くになりますので、とても私一人では打てません。
そこで毎年、蕎麦打ち仲間に手伝ってもらってます。仲間の皆さんのほうも、このイベントを楽しみにして、何を置いても駆けつけてくれるのは、やはりここの雰囲気がすばらしいからでしょう。

朝10時、蕎麦打ち道具一式を車に積んで、家内と私は青い鳥に到着します。スタッフの皆さんはもう準備を始めています。
私たちもさっそく道具を並べ、蕎麦を打ち始めます。蕎麦打ち仲間も次々と参戦です。
大勢のボランティアの方々も続々と集まり、配達用の蕎麦を詰める人、届ける人、お客様の送迎をする人、大忙しです。
午後になるといよいよお客様がいらっしゃいます。厨房では「それっ」と茹でが始まります。
我々はデモンストレーションも兼ねて蕎麦打ちを続けます。間近でじっと見つめる方や、いろいろ質問される方もいらっしゃいます。
お客様の間に入ってお話しするのも、楽しいものです。

皆さん「おいしいおいしい」と召し上がってくださいます。たっぷり一人前をぺろりと平らげ、お代わりをする方もいらっしゃいます。
9年もやってますと毎年いらっしゃる方はもう顔見知りです。「今年もここでお蕎麦をいただくのを、楽しみにしてたのよ」などと言ってくださいます。

こうして、自分が打った蕎麦を召し上がっていただけて、おいしかったとおっしゃっていただける喜びというのは、これは蕎麦打ち人でなければ味わえない喜びです。
私はその喜びをここで知りました。
だから、青い鳥は、蕎麦さかいの原点であり、生みの親なのです。

昨日の写真をここにアップしました。雰囲気を感じていただけると思います。
http://soba-sakai.com/aoitori

一方で、1年たつと、いろいろ変化があります。
去年までは元気に歩いて来られたけれど、今年は車椅子で、という方もいらっしゃいました。
あの方は毎年いらしていたのに、そういえば今年はお見えにならなかったなあ、ということも。
そう考えると、今日召し上がっていただいている蕎麦がもしかすると・・・ と思うこともあるのです。

仏教で、生・病・老・死を四苦と言うそうですが、生まれ出ずる苦しみは別として、老・病・死は私たちは誰もがこれを迎え、これと付き合っていかなければならないのですね。
日頃は、そんなのまだ先のこと、と、忘れたふりをしてるんですが、青い鳥のイベントに行くと、一挙にこれが身近なものなのだと教えられます。
いえ、別に暗い気持ちになるわけではありません。
これらと付き合いながら立派に元気に生きていらっしゃるお年寄りに接して、自分もしっかり生きなくては、と励まされる気持ちになるのです。

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さて、いよいよ新蕎麦も出始めました。秋はお蕎麦屋さんの季節であります。蕎麦さかいもますますがんばります。
どうぞ、蕎麦さかいで実りの秋、食欲の秋を楽しんでください。お待ちしております。


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