17号 高橋邦弘さんのそば会に行きました (2007/4/28)

蕎麦さかいです。あっという間に4月も終わりですね。いよいよゴールデンウィーク。いろいろ、計画されてますか?

さて蕎麦さかいの4月のトピックス、今日はまず、高橋邦弘さんのそば会に行ったお話からいたします。高橋さんと聞いて「ああ、あの翁の」とおっしゃる方は蕎麦通の方ですね。そう、山梨県の長坂町にある「翁」というお蕎麦屋さんをやっておられた方です。今はその店は弟子に譲って、広島で「達磨」というお店をされつつ、全国を回ってそば会という形式でのイベントをやっていらっしゃいます。蕎麦好きの間では以前から有名な方でしたが、おととしNHKの趣味悠々という番組で蕎麦打ち指南をされてさらに全国区になり、今では日本一有名なお蕎麦屋さんです。

しかし高橋さんの偉いところは、どれだけ有名になっても自分で蕎麦を打たれるというところ、それも一切手抜き無しに、というところです。そして現在さまざまな活動をしておられますが、すべてが蕎麦の楽しさを広める、という目的の線に沿っていてそこからはみ出さない、というところです。ご本人も「生涯楽しんでそばを打ちたい」「自分が得た技術や知識を、それを求める人に伝えたい、伝えるべき」というのが自分の思いだとおっしゃっていますが、まさにそれを実践していらっしゃる方です。

前置きが長くなりましたが、私が行かせていただいたのは4月2日の日、大泉学園にある妙福寺というお寺さんで行われたそば会です。1年に2回、これでもう30回になるそうです。広大で閑静な境内の一角にある、庫裏というにしては広壮な建物の玄関を入りますと、そのすぐ脇のスペースで高橋さんが蕎麦を打っていらっしゃいます。来る方はみなその横を通って部屋に入るのですから、自然と来る人帰る人と会話が始まります。「こんにちは、また今回も来ました」「いらっしゃいませ。たくさん食べていってくださいね」「おいしかったよ。4枚も食べちゃった」

3時間くらいの間に100数十名の方が入れ替わり立ち代り来て、ただただ蕎麦を食って、少しお酒を飲んで帰る、それだけの不思議な会です。お寺の雰囲気がまたいいんです。柱は黒ずんだ自然木、大きな座敷、縁側の向こうには年ふりた庭の木々、床の間の掛け軸・・・。ちなみに料金は6,000円。お酒飲み放題とはいえ、決して安くはありませんね。飲み放題といっても、食べ物は蕎麦のみですからそんなには飲めません。以前こっそりつまみを持ち込んだ人がいたんだけど、次回から呼んでもらえなくなったとか。お酒はお寺さんの提供だそうで、主催もお寺さん。

さて肝心のお蕎麦は、高橋さんらしい、正統派のお蕎麦です。翁で食べたのと基本的には同じです。粉は常陸秋蕎麦とキタワセのブレンドで、二八で打ってるということでした。変に特徴を出そうとして奇をてらったり細工をしたりしない、普通に打って普通にすごくおいしい、そういうお蕎麦です。「これが私の蕎麦ですから」と、黙々と延々と打ち続ける、その姿にはとても感銘を受けました。黙々と、と言いましたが、雰囲気はそうなんですが実際にはかなり気さくでおしゃべりな方で、「最近は『名人』と呼ばれると返事するようになりましたからねえ」などとジョークを言いながら、何度やっても寸分違わぬ手さばきで、ほんとに名人芸ですね。私は持って行った高橋さん著の「蕎麦大全」という本にサインをしてもらい、一緒に写真まで撮ってもらいました。もう、ミーハーです。

                    

ですがこの会は誰でも行けるわけではなくて、お寺さんから呼んでもらわないといけないのです。とても人気があるのだそうです。私は、大学時代のOB合唱団の大先輩ご夫婦がお持ちの枠があって、それで呼んでいただきました。ただ、その枠が残り一人しかなく、ちょうど月曜日は家内は別の用事でだめなので私一人で行くことにしたのですが、そうは言っても自分ひとりで行くのもちょっと気が引けてなかなか言い出せず、終わってからさりげなく「こういうのに行ったんだよ」と報告しましたら「私も行きたかったのに」と恨まれました。ミーハーでは私よりウワテですから。また機会があればぜひ行きたいです。

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次の話題は、お蕎麦とは全く関係ないのですが、私、チェロの練習を再開しました。実はチェロにはずっとずっと昔からあこがれていましてて、2年ほど前に50の手習いということで一念発起しまして始めたのです。それが、蕎麦屋開業のいろいろもあって途中で挫折していまして、部屋の片隅に寂しくチェロ君が突っ立っているのを見ながら、申し訳ないなあと思っておりました。そしてそして、先週から1年ぶりに再会、いや再開したというわけです。

再開を決心して、先日自由が丘に教室を見つけて申し込んだんです。そしたら不思議なことに、そのあとうちに来られたお客さんが突然「私、2年ほど前からチェロを習ってるんです」とおっしゃって、「おや、私もなんですよ」。不思議なことは続くもので、そのあと原宿で1人昼食を食べてましたら、相席になって向かいに座った男性がいきなり「私、チェリストなんです」と話しかけてこられました。確かに私は料理を待つ間、合唱の楽譜をパラパラめくってはいたのですが・・・ そこで「いや私もホンノ少し習ってまして」と遠慮がちに告白しました。その方は菅野博文さんとおっしゃる、あとでネットで調べてみたらかなり有名なチェリストさんでした。いやほんと、びっくりでした。

ということで、4月9日月曜日から初めて、すでに3回、自由が丘の教室に行きました。こちらの先生は長沢正孝先生とおっしゃって、私のような初心者に教えるのはとても慣れていらっしゃる先生のようです。「いいですよー、がんばってくださーい」とおっとり励ましてくださいます。1年ぶりで弾いてみると、かなり後退してはいますがそれでも多少は体が覚えていて、ゼロからということはないですね。今は弾くのが楽しくて仕方ありません。今度は挫折しないようにがんばらなくては。

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さて、蕎麦さかい移転計画は、ちょっとずつ進んでいます。二人でいろいろと話して、私たちの要望を洗いざらい出してみました。二人の意見は概ね一致するのですが、これまでの最大の争点は「蕎麦釜」でした。蕎麦を茹でる釜です。本式の蕎麦釜。私としてはぜひこれが欲しいのです。今は普通のガスレンジに12リットルの鍋をかけて茹でているのですが、これだと火力が弱く再沸騰までに20秒から30秒もかかるのと、お湯の量も少ないので6人前くらい茹でるともうお湯が濁って粘ってきてダメなんです。だから、最低30リットルの釜がかかるのが欲しいんです。釜は蕎麦屋の命ですから。

ところがですね、これがなんとも無骨ででかいのです。妻は妻でキッチンには思い入れと自分のイメージがあるのですが、そのイメージと、このどでかいステンレスがギンギンの蕎麦釜とは、全くもってマッチしないのですね。そうすると生理的に拒否感が先にたつようで、しまいには蕎麦釜のことを考えるだけでストレスで胃が痛くなるという始末。なかなか大変です。

これから家を建てるのだと人様にお話しすると「今が一番楽しい時ですよ」とよく言われます。つまりこれから大変だよということらしいので、きっとますます大変になるのでしょうね。気が重いです。何がどう大変か、また追々ご報告いたします。

それでは今日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。蕎麦さかい一同、皆様のお越しをぜひお待ちしております。




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