12号 築地は僕の、わくわくランド (2006/12/17)
築地市場に行かれたことはありますか。本当にわくわくですよ。僕は今、毎週2回くらいのペースで仕入れに行ってます。

以前、勤めていたオフィスが勝どきにありました。毎朝地下鉄日比谷線の築地駅で降りて、市場の横を通り、かちどき橋を渡ってイヌイビル・カチドキに通っていたのです。当然朝の買出しのおじさんたちと一緒になります。駅の階段を登る時、いつの日か僕もこんなスーツ姿じゃなく、ジャンパーでも着て竹で編んだ市場かごを持って、この階段を登る日が来るかなあ、来ないかなあと夢想したものです。

ところが、来たのですねえ、ついにその日々が。幸せです。ジャンパーを着て、市場かごじゃないんですが、保冷バッグを提げて、喜び勇んで通ってます。

築地を歩いていると、おいしそうなものがいっぱいあって、あれも買いたいこれも買いたい。でもうちは二人家族ですからねえ、とてもたくさんは買えないわけで、築地で思いっきり買い物をするにはお店をやるしかないってんで始めたようなものですから。

場外市場はご存知の方も多いでしょう。晴海通りと市場の間の何本かの狭い通りに、軒がくっつきそうな勢いでダーーッと店が並んでいる、あれです。行列で有名なラーメン屋などもあったりしますよね。築地といえば鮮魚というイメージですが、この場外には意外と鮮魚店は少ないんです。多いのは生鮮以外の鰹節とか昆布とか瓶詰めとか、あるいは調理用具とか、そういうものを扱うお店です。
しかし最近はとみに観光地化していまして、一般のお客さんや外人さんがすごく増えてまして、それにつれて寿司や海鮮丼などの店がどんどん出現し、軒を連ねています。市場というよりは飲食街のようになってきました。

鴨は蕎麦屋の定番ですが、それを仕入れるのはこの場外にあるお店です。国産の生の鴨がいつもあります。スーパーで売ってるのは台湾や中国の冷凍モノが多いです。山葵や柚子などを買うのも場外です。以前も書きましたが、お父様がここの元社長だったM君から紹介してもらいました。僕も初めて知ったのですが、同じ山葵といってもいろいろなんですねえ。値段もいろいろだけど、味も色もさまざま。いいものは、とってもきれいな濃い緑色で、味が甘いんですよ。いやもちろんツーンと来るんだけど味は甘いんです。すりおろしてそのまま舐めるとよくわかります。いい山葵は本当にそのまま舐めてもおいしいんです。

そしてオサカナを買うのはやはり場内です。場内は入ったことのある方は少ないかもしれませんが、すごいですよー。網の目のようになった狭い通路の両側に、もうズラーーーッと店が並んでまして、全部で何店くらいあるのか、おそらく何百、いや千はあるかもしれません。それが全部魚屋なんです。あっちはマグロ屋さんが冷凍のマグロを電動のこぎりでカーンと切ってる。こちらは海老屋さんで、生きた車海老がブクブクの入った木箱に整然と並んでいる。そちらには鰤がごろごろ転がっている、そこにはさよりの山が、カワハギの山が、牡蠣の山が、アンキモの海が・・・。もう全部おいしそーー! 

なんでこんなにたくさん店があるのか、なきゃいけないのかは謎です。僕のような素人には、どの店も同じように見えるから。もちろん扱っている魚の種類に特徴はありますよ。ですけれどそれにしても同じような魚が同じような値段で並んでまして、どうにも見分けがつきません。しかも中は迷路のようで、途中これはいいなあと思っていも、さてそこに戻ろうとすると決して戻れません。

その何百とある店の中で1軒だけ先ほどのM君に紹介してもらった店があって、おかげでおやじさんと顔見知りになれました。僕が新米の蕎麦屋だということも知っていて、いろいろ親切に教えてくれまして、とてもありがたい存在です。でもこの前も「オススメは鰤だよ」と言われて、「そりゃあ買いたいけれど、鰤1本なんてとても買えないよ」「じゃ、特別に半分にしてやるよ。え? そうだな、半分で4,5キロってとこかな」って言うんであきらめました。もっと店のスペースも広くして営業日も増やしたらということで・・・

ところであの場内は、一般の人は入っちゃいけないんじゃないかという気がしますよね。ですが、そんなことはないんですよ。ま、一応どこかに一般人は立ち入り禁止とか書いてあったような気もしますが、行けば誰にでも売ってくれます。
しかし、マナーとして言われていることは、我々のような一般人は、大量に買うプロの業者さん達が帰ったあと、時間にすると9時とか10時ごろに行くのが良い、ということです。その時間になると、早い店はもう片付けに入ってますが、多くの店は少量でも嫌な顔することなく親切に対応してくれます。全部が全部とは言いませんが。皆さんも、是非一度行ってみてはいかがでしょうか。なんなら、ご一緒しますよ。

さて、早いもので今年ももう秒読みとなりました。年末と言えば年越し蕎麦。蕎麦さかいでも年越し蕎麦のご予約を承っております。
ありがたいことに、12月31日到着分(12月30日製造分)は、すでに100人前ほどのご注文をいただいておりまして、そろそろ限界かと・・・ 早めにご注文いただけるとうれしいです。
また、もし出来ましたら12月30日到着でのご注文をお願いできればとてもありがたいです。1日早い年越し蕎麦になっちゃいますが。ちなみに、それは12月29日に打ちますので、2日後の大晦日まで持たないことはないんですが、少し風味が落ちます。

また、時々、「取りに行くよ」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、12月31日に取りに来ていただけるのでしたら、ご用意できます。前もってご連絡ください。

こればかりは、前もって作っておくというわけには行きませんので、どうぞご理解をお願いいたします。

それでは皆様、良いクリスマスと新年をお迎えください。
来年も蕎麦さかいをよろしくお願いいたします。


戻る
Copyright (c) 2006 Soba SAKAI. All rights reserved.