11号 毎日何をしてるの? (2006/11/19)
秋の気配濃くなってまいりました。食べ物も最高においしい季節ですね。蕎麦も今が一年で一番おいしい季節。鴨も、うちで使うのは合鴨ですので年中ありますけれど、これからが脂に味が乗っておいしい季節です。
柚子の皮をすりおろして更科粉に練りこむ柚子切りも、これからが本番です。蕎麦さかいでも12月になりましたら柚子切りをご提供したいなと思っています。

ところで、このメルマガの読者がなんと100人を超えました。別にどこでも宣伝しているわけではないのですが、伝え聞いてポツポツと登録してくださる方がありまして、現在104名になりました。いやー感動です。ありがとうございます。
100名突破記念に内訳をちょっと調べてみたんです。そうしたら、元リク40%今リク10%、高校大学を含めいろんな友人20%、合唱つながり15%、妻の友人10%、その他親戚など5%と、ざっとこんな割合でした。あ、リクというのはリクルートです。私がこの6月まで28年間勤めていた会社です。

この割合がすなわち、自分がこれまでの人生でさまざまな方に接してきた、その数と濃さの割合を表しているのだと思います。そして、その方々が今もこれからも自分を支えてくださるんだということを考えると、何かジーンと来るものがあります。人間決してひとりで生きてるんじゃない、たくさんの人たちに支えられて生きているんだということを改めて感じます。会社人間の頃は、あまりそういうことは考えませんでした。あらためて、皆様ありがとうございます。

ところで話は変わりますが、会社を辞めてから良く受ける質問は、
「酒井さんは毎日何をして暮らしているんですか」、ということです。
どうも定職についてない中年男と言うのは、ちょっと理解しがたい存在のようです。「うーん、ネクスウェイという会社に行ってるのと、週末は蕎麦屋やってるんですが・・・」などと答えるのですが、自分でもうまく答えられた気がしません。そこで、一念発起して真面目に答えてみたいと思います。

ネクスウェイというのは、FNXというファクシミリの一斉配信サービスをやっている会社です。私が30代の頃に、リクルートの中で当時一大事業部であった通信事業の一つのサービスとして作ったものです。通信の世界は日進月歩でして、大きな変動とともにリクルートの通信事業もほとんどが淘汰されてしまったのですが、このFNXだけは生き残って今日に至っています。それが今はネクスウェイという名前の別会社になっていると、こういうわけです。

このFNXというのは、私にとっては自分の青春の一時期を賭けた、分身のような、わが子のようなものでありまして、それくらいかわいい、そしてまたいくつになっても心配なものなのです。私と一緒にFNXを立ち上げてきた後輩たちが今も一生懸命守り育て、支えてくれてますが、ファクシミリそのものがネットに取って代わられつつある時代、この会社も新しい姿に脱皮しなければ生き残っていけません。古いものを守りつつ、時には壊しつつ、新しいものを打ち立てていくのは大変苦しいことですから、この苦しい時期に何とか少しでも力になりたい、いや力にならせろ、ということで、言わば押しかけ応援団のようなことをやっています。(苦しいところへの押しかけですので無給でとお願いしたのですが、そうはいかんと言う事で実はお給料もいただいてます。)

具体的には何をやっているのかというと、一番は社長であるF君の相談に乗ることで、新しく開拓する分野をどう切り開くかとか、親会社との交渉であるとか、人や組織の布陣のことであるとか、社長というのはなかなか人に相談しにくいことがあるものです。それから古手若手いろんな社員の話を聞いたり激励したりたまには飲みに行ったり・・・、週に2、3回くらいのペースで行ってます。今期、来期に再び成長の軌道に乗せられるかどうか、できなければかなり厳しい運命もありえますので、正念場です。

いや、FNXの話になると、思わず力が入ってしまいます。

そして肝心の蕎麦屋のほうですが、金、土、日は蕎麦屋をやることになっているわけです。しかしまあこれは、あくまでご注文しだい、ご予約しだいということでありまして、あればうれしくて一生懸命やる、無ければお休みです。例えば今週は、昨日土曜日は朝から築地に鴨やわさびなどの買出しに行き、そのあとは発送分とお届け分の蕎麦を打ち、つゆと鴨を作り、梱包して、夕方お届けに行き、その足で合唱の練習に行きました。合唱というのも私の生活の中のとても重要な要素を占めているのですが、それについてはまたお話しする機会があると思います。

今日は日曜日でリビング蕎麦屋の日ですが、今週はご予約が無く休業です。ですので新しいメニューの試作&試食に精を出しておりました。昨日築地で買ってきた生の鮟肝と大根のソテーはなかなか美味で、これはメニューにのせられそうです。そしてこれも築地で仕入れた赤貝。生まれて初めてさばいたのですが、真っ赤な汁が出ること出ること、なるほど赤貝です。そして身をきれいにして、最後にまな板にたたきつけますね、よく寿司屋でやってる、あれですが、びっくりしました。あれで本当にふにゃっとした身が一瞬にしてコリっとした感じに変わるのです。魔法のようです。あれはダテや見せかけじゃないんですね。そしてその甘くて旨いこと。最高です。

さてそれで話を戻しまして、ただいまのところ宅配が一番件数が多いのですが、やってみてわかってきたことの一つは、予想以上に関西方面からのご注文が多いことです。なんとこれまでの3分の1がそうでした。私のルーツが西なので、古い友人、親戚含め多いということもありますが、もう一つはやはり、東京に比べて関西の方がおいしい蕎麦を食べさせる店が少ないこともあるのかもしれません。また、これまでリピートの注文を下さった方が3人いらっしゃいます。いや、これはうれしいものですね。少なくとも「こんなもの二度と頼むもんか」とは思われなかったということですから。また、自分が食べてみておいしかったので人にも送りたいというご希望もいくつかいただきました。その場合は代引きでは具合悪いわけで、そこで郵便振替ならびに銀行振り込みでのお支払いもできるようにいたしました。ですので、ご贈答にもどうぞご利用ください。

当初は圧倒的にざるのご注文が多かったのですが、寒くなるにしたがって、かけや鴨南蛮が増えてきました。鴨といえば、リビング蕎麦屋で最も人気のある自信メニューの「鴨のロースト」が宅配できるようになりました。鴨というのは、中心まで75度くらいになるようにして30分から40分加熱することによって、殺菌もされ、火が通っていてしかもやわらかく、中までとてもきれいなピンク色に仕上がるのです。それはわかってはいたのですが、ただ、実際にその温度に保つのがなかなか難しいのです。オーブンでやったりお湯につけたりいろいろとやってみましたが、シャトルシェフという保温調理器を使ってやるのが最も安定した出来上がりになる事を発見しまして、現在はその方法でやってます。是非一度お試しください。ちなみに鴨は合鴨ですが、国産の生の(冷凍じゃない)もので、そのつど築地に買出しに行ってます。

なんか、話が宣伝になってしまいましたが、そんなわけで、はからずも時間的には余裕のある毎日になっています。そこで目下、蕎麦さかいで一番議論になっているのは、営業日、特に日曜日のみとなっているリビング蕎麦屋の営業日をどうするか、という問題です。議論になっているということは、増やそうという意見と増やさないという意見が存在しているわけでして、まあ、ママゴトのような話ですが、重要な営業方針についてでありますから簡単には結論が出ません。何しろ従業員が二人なものですから、議論は1対1のまま平行線をたどっております。皆様のご意見ご希望をお聞かせいただければ幸いです。

それでは、これから寒さに向かいますので、どうぞご自愛ください。失礼いたします。


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